ちょっと短いお話集
腐乱死体の独り言
 拙僧、こうなってから始めて気がついたのですが。

 死、

 死というのはなんと心地の良いものなんでしょう。
 いやね、拙僧、一般的にゾンビと言われているものなんですが。
 そんな、拙僧が言うのもおかしいかも知れませんが。君たち考えても見たことがありますか?

 生と言う名の不平等、悲しみ、苦しみを。

 知っているのであろうか、ドメスッテック、バイオレンスの連鎖などを。
 いいですか、生まれて来て両親に優しくされ、愛され、何の不自由も無く育ったものと言うものは、本能的に人に優しく、そして愛そうとするものらしいのです。

 そして、悲しい事に子供の頃に人に愛されなかった物は、大人になっても、人を愛そうとしないのです。

 するとですよ、どこかの本が言うように、良いことをすれば天国に行けて、悪い事をすると地獄に行くという、それですら、不平等に満ちたものになるのではないだろうか。

 なにしろ、運が悪く、ひどい親のもとに生まれたものは死んでも地獄に行きますと言われているような物なのですから。

 もちろん、個人差はあるのでしょうけど、それでも、ひどいと思いませんか。
 でもね、これ、みんなやはり間違っていました。
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