ちょっと短いお話集
単なる木の棒なんです
いやー、おいらは木の棒。
驚かれた方々。すいません、でも本当なのです。
何の飾り気も無い、一握の太さの、樫の木で出来た長さが子供の背丈くらいの木の棒。
突然その木の棒が何を言いたいのかと、皆さんおっしゃりたいのでしょうけれど、こう見えても色々言いたいこともあるのですよ。
まあ聞いてくれ、おいらが生まれたのはね、丁度、このあたりに戦争があった頃なんだ。
でも戦争って言ったって、今のように洗練された時代じゃあない、石や棒で人をたたいていた時代の事さ。
「お、丁度手ごろな枝があったぞ」
おいらの誕生は、そういう声と同時に、母たる樫の木からへしおられて始まった。
その人は年取ったおじいさんでさ、最初、おいらを杖にしたんだ。
おいらうれしかったね、何故なら、困っている人を助けるのは本望だからさ。
そのおじいさんは、おいらを使って色々な所を歩き回ったさ、でもさ、そのうち、飽きちまったのか、忘れちまったのか、さてまた、くたばっちまったのかは知らないよ。
とにかく、おいら道の端に捨てられちまった。
驚かれた方々。すいません、でも本当なのです。
何の飾り気も無い、一握の太さの、樫の木で出来た長さが子供の背丈くらいの木の棒。
突然その木の棒が何を言いたいのかと、皆さんおっしゃりたいのでしょうけれど、こう見えても色々言いたいこともあるのですよ。
まあ聞いてくれ、おいらが生まれたのはね、丁度、このあたりに戦争があった頃なんだ。
でも戦争って言ったって、今のように洗練された時代じゃあない、石や棒で人をたたいていた時代の事さ。
「お、丁度手ごろな枝があったぞ」
おいらの誕生は、そういう声と同時に、母たる樫の木からへしおられて始まった。
その人は年取ったおじいさんでさ、最初、おいらを杖にしたんだ。
おいらうれしかったね、何故なら、困っている人を助けるのは本望だからさ。
そのおじいさんは、おいらを使って色々な所を歩き回ったさ、でもさ、そのうち、飽きちまったのか、忘れちまったのか、さてまた、くたばっちまったのかは知らないよ。
とにかく、おいら道の端に捨てられちまった。