ちょっと短いお話集
 そして言った。
「健二、俺の代わりにリレーがんばれよ」
 と、そのまま戦士はランドセルの中に消えてしまった。

 リレー?
 
 リレーの事を知っていると言うのはサトシだけだ、それじゃ、あれはサトシ、サトシだったんじゃないのか。
 そういえば、サトシが大人になったらあんな感じじゃないのか。

 ぼくはそう思って、ランドセルの元に駆けつけた。

 そう言えば何かの本で読んだ事がある、異界は時間の流れが違うと。
 きっとサトシは向こうの世界に行って大人になっていたんだ。

 ぼくはランドセルを開ける。
 だが、サトシである戦士が言ったように、すでに普通のランドセルに戻ってしまっているようだ。

 もしかすると、サトシはぼくを助けに来てくれたのかな。
 ありがとう。
 ぼくはランドセルを見つめながら、大切だった友達の事を思って泣いた。
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