ちょっと短いお話集
カーテン妖怪
 あの恐ろしい事件が起こったのはわたしが小学校四年生のときだったんだ。

 わたしが隣の教室に行くと、美代子ちゃんが死んでいた。

 初めわたしは、美代子ちゃんが死んでいるなんて思わなくて、「ねえ、美代子ちゃん、なんで寝ているの」なんて声を掛けた。
 でも、美代子ちゃんの返事はなく、腕を触ってみても、ぐにゃりとしてまるで力が入っていない。
 わたしはそれでも、美代子ちゃんの名前を呼びながら、体を揺さぶったが、まるで、反応は無かった。

 大変だ。
  その時、初めて、涙を流しながら先生を呼びに教室を飛び出したのだった。

 それから、しばらく学校が休みになるやら、刑事さんに質問されるやらで、さわがしくなった。
「怖いわね、不審者の仕業かしら」
「あれ、第一発見者の久美子ちゃんでしょ」
「窒息していたって噂だよ」
 色々な噂が飛び交っていたが、わたしには本当の犯人が誰だか分かっていた。

 カーテン妖怪の仕業だ。
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