ちょっと短いお話集
むぐぐぐぐぐぐ、わたしは即座に先生の腕をつかんで引き離そうとする。
 なんで、なんで先生?
 私の頭の中は真っ白になった、訳がわからないよ、一体私が何をしたというの。
「ごめんよ久美子ちゃん」

 そういう先生の目は血走っている。
「はじめ、わたしがたかふみ君を殺したのは、はずみだったんだよ、わたしがカーテンの後ろにいるなんて知らないで、あまりにも酷い悪口を言う物だから……、つい、ね。 美代子ちゃんはね、それを見てしまったんだよ」
 そう言いながら、わたしへの圧搾を強めてくる。
「美代子ちゃんはわたしがカーテンの後ろから出てきたから妖怪だと思ったらしいが、このままじゃ、いつか、真実がばれてしまうだろうと思って殺したんだよ」

 ああ、ぜんぶこの先生の仕業で、カーテン妖怪なんていなかったんだ。
「あ、あ、あ」
 わたしは苦しくて喘いだ。
「苦しいかい、すぐに楽にしてあげるからね」
 そう言って、先生はわたしを殺そうと、更に力を強めた。
 助けて、誰か。苦しい死んでしまう。

 その時、いきなり先生の力が弱まり、私の首から手が離れた。

「がっ」
 わたしは苦しみの余り声を出しながら教室の床にたたきつけられてしまった。
 どうしたんだろう。
 わたしはくるしくて動けない。
 それでも、なんとか目だけを動かして、先生の方を見た。
 先生はさっきわたしがやられていたように、首をつられて、空中に持ち上がっている。
 誰がやっているんだろう。

「ヤミが欲しいか、ならばくれてやろう」
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