ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
「ごめんなさい…。私達、やっぱりいい友達でいましょう…」
「トーコさん…」
「あなたのことは、たぶん一生忘れません…」
予定外の涙を拭って微笑むと、
「…そうですか」
ウシオははーっとため息をついた。
「わかりました…。それじゃあ新天地でも頑張ってくださいね」
彼はそう言って、私に右手を差し出した。
「ありがとうございます…」
私も右手を前に出すと、ウシオと固い握手を交わした。
「どうぞお元気で」
そう言ったウシオの手は、少し汗ばんでいた。
見上げると、彼はライトを背に悲しそうに微笑んでいた。
それが演技か本心からかはわからないけど、
なんだか胸がちくっと痛んだ。