ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
「これ…、どう見ても旅館で撮った写真ですよね…?マユコさん、ウシオと旅行にでも行ったんですか?」
「……」
浴衣姿で微笑むふたりに、私はサキさんの言葉を否定できなかった。
「ウシオは劇団仲間と旅行に行ったことはないって言ってました…。ってことは、プライベートであなたと旅行に行ったってことですよね…?」
「……」
それはウシオとサキさんが付き合う前の話だったけど、
私はなぜかそのことを言い出せなかった。
「一緒に旅行に行くなんて、やっぱりあなたもウシオのことが好きだったんですね…」
「違っ…、そうじゃないんです…」
私は弁解しようと思ってようやく口を開いたけど、
「何が違うって言うんですか…?普通好きでもない男と旅行になんか行きませんよね…?」
サキさんは全く聞く耳を持たないという感じだった。
「それは…」
私は何も言い返せなかった。
もう何を説明しても聞いてもらえないような気がした。