ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜

きまりが悪くなって目をそらすと、


サキさんはため息をついた。




「黙ってるってことは、やっぱりそうなんですね…」


「……」




サキさんは何も答えない私に呆れたように言った。




「…そんなことだろうと思ったから、私、あなたの彼への気持ちを試させてもらったんです」




サキさんは写真を長机の上に置くと、


今度は手紙と指輪の入った紙袋を手に取った。




「さっきも言いましたけど、今回のお芝居で、主人公はヒロインに花を贈られたことで、自分の心に素直に行動することができたんです…。それで私、マユコさんだってウシオから婚約指輪を贈られたら、きっと本音をもらすんじゃないかと思って、ウシオのふりしてこれをあなたに贈ってみたんです…」


「え…?」


「ウシオから指輪を贈られたと思ったあなたが、彼に対してどう出るかを見たかったんですけど…、あなた、思ったより早く答えを出してくれましたね…」


「え…」




サキさんは核心を突いた。




「さっきのキスがあなたの答えなんですよね…?」


「えっ…」




「マユコさん、ウシオが私と婚約したのを知ってて、彼のこと、まだ好きなんですよね…?」


「……」
< 232 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop