ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
それからというもの、私は劇団に顔を出すことをやめた。
転勤が決まればどうせこの劇団もやめるんだと思うと、
あんなにはまっていた演劇活動も、もうどうでもよくなっていた。
その後サキさんからは何の音沙汰もなかったけど、
私は一応2次会招待客の出欠をまとめ、
ビンゴ大会の景品を調達したり、会の進行を誰に頼むか考え始めたりしていた。
サキさんはあんなことを言っていたけど、
私とウシオが終わったことを知れば、ふたりは元鞘に戻るんじゃないかと思っていた。
公演日以来、ウシオとも会う機会はなくなっていたけど、
私は彼にサキさんとうまくやっててほしいと願った。
…じゃなきゃ、こっちだって報われない。
ふたりの結婚式までに、なんとか気持ちに整理をつけないと…。
そう思って、とにかく仕事に打ち込んだ。
自分にはもう仕事しかないんだと思うとやっぱりさみしいものがあったけど、
ウシオやトモシに会う前の生活に戻っただけだと考え、私は忙しさに気を紛らわせていた。