ターニングポイント
陶子さんによると、今いるこの場所はまだ最高地点ではないのだそうだ。


火口をはさんで反対側の剣が峰のてっぺんが、3776mなのだという。


言われて見ると、たしかに多くの人が火口の周りを歩いていた。


せっかくここまできたんだ、行くか。


俺は頂上にたどり着いた喜びに浮かれていたので、それまでのつらさを忘れ、やる気満々だった。


「よし、行こう」


俺がそう言うと、陶子さんは嬉しそうに微笑んで再び荷物を肩に背負った。



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