ターニングポイント
すると、メニューから目を上げた陶子さんが、くすっと笑った。


「冗談よ。
涼くんは、ノンアルコールね。
私は飲ませてもらうけど」


そう言って、カウンターの中にいたバーテンダーにカクテルを注文した。


俺はウーロン茶を頼み、バーテンダーが下がるのを待って陶子さんに聞いた。


「なんで、俺をこんなところに連れてきたの?こんな服まで買って」


「だって、この間、笑ったでしょ」


俺が、何のことかと首をひねっていると、かるく腕をつねられた。


「忘れたの?
ライブのあと、私が車で来なきゃ良かったって言ったら大笑いしてたじゃない」


ああ。


思い出した。


そういえば、あのあと、何かいいこと思いついたとか何とか。


あれがこのことだったのか……


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