ターニングポイント
俺は暴れそうになる心臓を「いとこ、いとこ、いとこ…」と頭の中で唱えてなんとか気を紛らした。


しかし、陶子さんは俺のそんな努力にはお構いなしに、首を傾けて俺の肩にもたれかかってきた。


「いい気分」


俺は観念してため息をつきながら言った。


「今日はやけに機嫌がいいね」


陶子さんは顔を傾け、俺を見上げていった。


「そう?」


俺はすぐ近くにある陶子さんの顔を避けて正面の夜景を見ながら答えた。


「うん。鼻歌でも歌いだしそう」


すると、陶子さんも顔を正面に戻した。


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