ターニングポイント
俺は苦笑した。


「俺は足手まといにしかならなかったでしょ」


陶子さんは俺の顔を見上げ、首を振った。


「ううん、そんなことない。
一人だとめげそうなときも、あなたがいてくれたから頑張れたのよ」


どの時点を思い出しても、励まされていたのは俺の方であって、陶子さんは弱音を吐くことなく常に俺の前を歩いてくれていた。


俺がそう言うと、陶子さんは俺の手に自分の手のひらを合わせてゆっくりとなぞり始めた。


「あなたは今回初めてだったでしょ。
私がリードしなきゃっていう気持ちを持たせてくれたのよ。
だからあなたのおかげ…」


陶子さんのセリフがセクシーに聞こえて、俺は手も顔も熱くなっていくのをとめられなかった。



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