ターニングポイント
リビングでしばらく待っていると陶子さんが戻ってきた。


目を赤くしているけれど、もう涙は止まったようだった。


「ごめんね。なんかいろいろ思い出しちゃって」


少し照れ臭そうにそう言うと、ソファに腰を下ろした。


赤い目元を見ちゃいけない気がして、目を合わせられず俺が黙っていると、陶子さんは声を明るくして言った。


「ねぇ、涼くんはこのあと何か予定あるの?」


「いや、別に」


「じゃあ、少し瑞江さんの思い出話に付き合ってくれない?」


断る理由もなかった。


「うん」




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