ターニングポイント
「涼介、私を見て」


呼び捨てにされたことにどきりとし、つばを飲み込んで、陶子さんの前髪の辺りに視線を合わせた。


「あなたに再会した日、玄関を開けてあなたを見て、本当に驚いたの。
私よりずっと小さかったあなたが、すっかり大人の男になって、しかもすごくいい男になってて」


俺は驚いて陶子さんの目を見つめた。


「あなたと一緒にいたかった。
だから、毎日あなたを付き合わせたの」


そこで陶子さんは一瞬目を伏せ、再び俺を見上げた。


「今夜、泊まるつもりはなかったのよ。
あなたが…
酔って眠ってしまったから…」


そう言うと、陶子さんは俺をそっとベッドに押し倒した。


俺は仰向けにベッドに横たわり、両手をついて俺を見下ろしてくる陶子さんの美しい顔をただ見上げていた。



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