ターニングポイント
俺が持っていたスーツケースに手をかけた陶子に、俺はポケットから切符を出して見せた。


それを見て彼女は目を丸くした。


「え、どうして?」


おとといは彼女にいきなりバーに連れて行かれて驚かされたけど、一矢報いることができたみたいだ。


嬉しくてにやけそうな顔をごまかしながら、俺は先に新幹線の改札を通った。


「ちょ、ちょっと待ってよ、涼介。ここまででいいのに」


俺は陶子を振り返って宣言した。


「成田まで行く」




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