ターニングポイント
「でも……」


陶子は戸惑いを隠せず、おろおろしている。


俺は手に持った切符を振って、平然と言ってのけた。


「もう改札、通っちゃったし」


昨日彼女を見送った後、また駅へ行ったのは、この新幹線の切符を買うためだった。


しぶしぶ自分も改札を通って、俺にそばに来た陶子は、俺の切符を見て眉を寄せた。


「でも私、指定席を取ってあるのよ。あなたのは自由席でしょ?」


それを聞いても俺は慌てなかった。


そうかもしれないとは思っていたから。


その場合の返事も考えてあった。


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