ターニングポイント
陶子の細い声が耳元で聞こえると、もう我慢できなかった。


俺は周りの目も気にせず、陶子にキスした。


離したくなかった。


行かせたくなかった。


でも、今の俺にはその資格がないことも、彼女がそれを望んでいないこともわかっていた。


だから、息が続かなくなったとき、俺は彼女を抱きしめる腕をゆるめた。


お互いの額をつけてうつむき、しばらくそのままの体勢でいた。


陶子も黙って俺の気持ちが落ち着くのを待ってくれた。



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