ターニングポイント
ああ、やっぱり俺はまだまだ子供だ。


俺は観念して顔を上げ、彼女の目を見つめた。


「…元気で」


俺がそう言うと、陶子は慈しむような笑顔を見せてくれた。


「あなたも」


陶子の肩から手を離し、スーツケースを彼女に渡した。


陶子はそれを受け取ると、俺を見上げた。


「次に会うときは、もっといい男になっていてね」


陶子はそう言ってウインクした。


俺は苦笑いし、頷いた。



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