ターニングポイント
そこで陶子さんは携帯の送話口を押さえ「お父様の書斎の机の一番上の引き出しにキーがあるそうなんだけど、見てきてくれる?」と囁いた。


俺はすぐに父の書斎に行き、キーを見つけてきた。



「もしもし、あったようです。

…ええ、存じています。詳しい場所は涼介君に案内してもらいますので。

…はい、ありがとうございます、ではお借りします。
失礼いたします」



陶子さんは携帯を閉じて俺に返してくれた。


「さあ、それじゃ行きましょ。

あ、夕飯までには戻れないと思うから、家政婦さんに涼くんの分は要らないって、書き置きしておいて。

悠くんにも出かけるってメモを残しておいてね。

夕飯は戻る途中、どこかで食べましょ。
もちろんおごるから心配しないで。
その代わり、お墓の場所を案内してね」



陶子さんはそう言ってにっこり微笑んだ。




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