ターニングポイント
狭い車内には、陶子さんの香水のかおりがかすかに漂っていた。


香水のことなんか全然知らないから、なんという香水なのかなんてわからなかったけど。


女子が体育後によくつけるきつい香りと違って、陶子さんの香りはいい匂いだと思った。


俺はシートを少しずらして、やや斜め後ろから陶子さんの横顔を見た。


きめの細かい肌、美しいカーブを描くあごのライン、艶のある黒髪。


昔から子供心にきれいな人だとは思っていたけれど、本当に美人だと思う。


スタイルも抜群にいい。


たぶん、俺の知っている女性の中で、断トツだ。



口では母の思い出話をしながら、頭の中ではそんなことを考えていた。




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