ターニングポイント
道路の混雑もなく順調に墓地に着き、俺と陶子さんは母の墓前で手を合わせた。


借りた手桶と柄杓を片付け、車に戻ったところで陶子さんが言った。


「さあ、せっかくのアルファ ロメオを堪能しましょ。どこか行きたいところある?」


俺は特に思いつかなかったので、陶子さんに任せることにした。




陶子さんは近くのインターから高速に乗った。


すでに夕刻だったが、夏の1日は長くまだまだ日は高かった。


下り車線は渋滞もなく、アルファ ロメオは気持ちよく加速した。


空には真っ白な入道雲が立ち上がり、ハイウェイの向こうに見える山々は青々としていた。


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