ターニングポイント
この車で高速に乗ったのは初めてだった。


陶子さんの腕がいいせいか、車の性能のせいか、乗り心地は最高だった。


陶子さんはどんどん先を行く車を追い越して走った。


体がシートに押し付けられ、スピードを体感する。


「あー、やっぱりいい車ね、これ」


陶子さんは前を向いたままつぶやいた。


「昔、瑞江さんにこれじゃないけどやっぱりアルファ ロメオを運転させてもらったことがあったの。
あの時はちょっと乗りこなすのが難しい気がしたんだけど、これはいいわ。
エンジンの音もたまらないわね。
もっとスピードを出せってあおられてる気分」


ちらっと見ると陶子さんは嬉しそうに微笑んでいた。


< 40 / 200 >

この作品をシェア

pagetop