ターニングポイント
俺は当然戦争体験なんてない。


俺の両親だってない。


残念ながら、祖父母から、戦争の話を聞いたこともなかった。


テレビや映画、本などで間接的に見聞きしたことがあるだけだ。


「日本でも、戦争が起きる可能性はゼロじゃないのよ。

日本の政治家がどういう道を選んでいくか、ちゃんと見ていないと、男子であるあなたは戦地に駆り出される可能性だってあるわ。
自分の知らないうちに戦争が始まってて、ある日突然、召集令状が来て。

そんな嫌でしょ?」


「やめてよ」


俺は眉間にしわを寄せた。


俺の嫌そうな顔を見て、陶子さんは吹き出した。


「そういうことだって、ありうるって話よ」




うーん。


やっぱり、ニュースくらいは見ようかな……




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