ターニングポイント
俺は隣を歩く陶子さんに話しかけた。
「なんか変な絵ばっかりだね。
あ、これも変。
顔の前に鳥を描くなんて。
顔見えないじゃん。
それに、シルクハットみたいなのをかぶった男の絵が多いね」
「ああ、山高帽ね。マグリット自身も山高帽にスーツっていう格好をすることが多かったらしいわ。
それに、イーゼルの前に立つときもスーツを着ていたっていう話もあるのよ」
「へえ。絵を描くときにスーツ。
もしかして、マグリットって変人?」
陶子さんは声を立てないようにくすくす笑いながら教えてくれた。
「いいえ、むしろその逆だったようよ。
平凡な小市民。
彼はアトリエを持たずに台所の隅にイーゼルを置いて絵を描いたらしいけど、手際がよくて服を汚すこともなかったみたい」
「なんか変な絵ばっかりだね。
あ、これも変。
顔の前に鳥を描くなんて。
顔見えないじゃん。
それに、シルクハットみたいなのをかぶった男の絵が多いね」
「ああ、山高帽ね。マグリット自身も山高帽にスーツっていう格好をすることが多かったらしいわ。
それに、イーゼルの前に立つときもスーツを着ていたっていう話もあるのよ」
「へえ。絵を描くときにスーツ。
もしかして、マグリットって変人?」
陶子さんは声を立てないようにくすくす笑いながら教えてくれた。
「いいえ、むしろその逆だったようよ。
平凡な小市民。
彼はアトリエを持たずに台所の隅にイーゼルを置いて絵を描いたらしいけど、手際がよくて服を汚すこともなかったみたい」