ターニングポイント
そう陶子さんに言うと、

「いいんじゃない？無理に解釈しなくても」

と言ってくれた。


「マグリット自身は自分の作品をあれこれ解釈されるのはあまり好まなかった、というような話もどこかで聞いたことがあるわ。

難しく考えすぎないで、涼くんが感じたまま受け取ればそれでいいんじゃない？

私はね、芸術って、受け取り手次第のところがあるなあって思うのよ。

美術なんて特に、作者のいないところで鑑賞するわけだから、受け取り手が自分の感性で受け取るしかないと思うのよね。

ああだこうだと説明されて理解するというのは違うと思うし、正解もないと思うの。

同じ作品を見ても、年を経れば違って見えることもあるでしょうしね。

実際、私はマグリットの作品を見るのは２回目だけど、前回とは違って見える作品がいくつかあったわ。

涼くんも、今のあなたにしか感じ取れないものがあると思うから、素直に自分の感じるままに受け止めればいいんじゃない？」


そっか。


陶子さんにそう言われ、なんだかほっとした。




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