ターニングポイント
「お疲れ。
よく頑張ったわね。
どう?体調は。気分悪くない?」


さすがに息を切らしながら、陶子さんが聞いてきた。


「あー、まいった~。
もう俺、ここまででいいわ」


思わず本音がもれた。


陶子さんは荷物を降ろしながら、くすくす笑っていた。




荷物を置いて少し休んだ俺たちは、山小屋の外に出てあらためて周りの景色を見た。


見渡す限り、雲、雲、雲。


昼間は真っ青な青空だったのに、足元ばかり見て登っているうちに、空には雲が出ていたらしい。


雲海ってやつだ。


「すげえ……」


俺は言葉をなくした。




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