ターニングポイント
「こうして見上げてると、だんだん星空がせまってくるような気がしない?」


「うん」


陶子さんの言うとおりだった。


じっと見上げていると、自分と星空が同化するような錯覚にとらわれる。


宇宙に取り込まれるような気分。


「自然ってすごいわね」


「うん」


広大な宇宙に一人ぽつん、と浮かんでいるような。


圧倒的な宇宙空間における孤独。


なんだか身震いさせられる。


「明日はここで御来光を拝みましょうね」


山小屋に戻る陶子さんについて、俺もそこから逃げるように宿に入っていった。




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