彼女のいるヒト
軽く息切れするあたしの顔を余裕の笑みで覗く新倉。


くっそ〜っ


「新倉、最低最悪!」

「サル語は聞こえね〜。ははっ」


あたしは悔しいやらむかつくやら……憎たらしい顔を睨んで席へ着いた。


あとちょっとだったのに!


ドカッと座り込み机をバシバシ叩いた。


……痛いし

机、ごめん


「おは。蒼(アオ)やっぱ仲いいじゃん」

「おはよ〜。いくないし。むかつくもん」


あたしの後ろに座って楽しそうに話す奈緒美。

仲というのは新倉との仲であったりなかったり……ある。


なんか良いとか悪いっていうんじゃない気がする……。

あたしと新倉。


「そっかなー?じゃれてるようにしか見えなかったよ」

「じゃれてる?あれは戦いだよ?正真正銘真剣勝負!」

「また中学生みたいなこと言ってる。蒼、頑張ればいいのに」

「……いーのっ」


面倒くさくなると頬杖をつくのがあたしの癖。それが出ると奈緒美は馬鹿だなーなんて言いながらあたしにでこピンした。

不貞腐れているとちょうど担任の先生が入ってきてSTが始まった。



頑張ろうなんて

どうしたら思える?

あんな顔してるヤツを

振り向かせられるわけない



春永蒼(ハルナガアオ)

16歳

面倒くさい恋してます。




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