彼女のいるヒト
着信はほとんどが非通知でたまに留守録が入っていた。

内容なんて聞こうもんなら、もれなく鳥肌着いて来ちゃうのでまとめて削除。

メールに至っては卑猥な件名に続くやっぱり卑猥な本文。

気持ち悪いし、ムカつくしで吐き気すら覚える。


「蒼、大丈夫……?」

「う、ん……」


なんで

なんで

みんな本気にするの


なんで

なんで

こんなメール信じちゃうの


身震いして我に帰る。

もうすぐ一限目が始まる。
奈緒美と二人でSTサボったから授業までサボる訳にはいかない。


「奈緒美、ありがとね!よしゃ、教室行こう」

「うん!負けないもんね!」

「おうよ!」


気合い十分に、あたしと奈緒美は笑って教室へ向かった。

途中、廊下で派手な女子にすれ違い様に『尻軽女』なんて言われたけど聞こえないふりをした。

でないとあたしらしくいられない気がするから。


あたしには奈緒美がいるんだからね!

参ったか!!

……無能か

無能なのか、あたし!!

いや!

あたしだって立派に戦ってみせるさ!!

覚悟だっ…………


誰かさん!!


ガラッ


誰かさんへの戦意を表に勢い良く開けた。

みんながこっちを見てる。


うん

勢い良すぎたね


「早く席に着け」と先生に言われ、あたし達は従った。

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