暖めますか?【短編】
「いい店だね〜加藤君、気に入ったよ!」
よかった、このお客さんもそう言ってくれた。
ホッと胸を撫で下ろし、案内された席に座る。
そして、日替わりランチを2つ頼む。
「加藤君、クリスマスだというのに悪いね〜これからデートかい?」
「いえいえ、そんな…。」
ニヤリと笑って言うお客さんに対し、苦笑いを浮かべながらそう言って、お客さんの顔を見たその時だった。
遠くからでもはっきりと分かった…。
知美ちゃんが店に入って来たのだ男と一緒に…。
なぜかあせって、隠れるように身を屈めてしまう…。
「どうかしたかい?」
「いえ…ちょっとトイレ我慢してたんで…すみません。」
俺の様子に不思議がるお客さんに嘘を付き、その場を離れトイレに向かう…。