暖めますか?【短編】
そして19時を前にして、営業2課は俺1人になった…。
ハァ〜と欠伸をして、椅子に座ったまま伸びをする。
よっこらしょと年甲斐も無い掛け声で席を立ち、給湯室に行き自分のマグカップにコーヒーを入れ、再び席に着く。
今頃2人でディナータイムかな…
1人になった部屋を見渡し、コーヒーを飲みながら時計に目をやった。
ガラガラガラ…
机の引き出しを開け、社内の人からもらったたくさんの義理チョコの中から、『タクミさんへ』と書かれたチョコを取り出す。
この時期は毎年チョコを食べながらの残業。
女性も社内に多く居る為、チョコをたくさん貰う。
全部義理だが……。
その分ホワイトデーは大変な出費となる…。
引き出しを元に戻し、机の上には1個のチョコが残る。
知美ちゃんからのチョコ。
最初で最後の一目惚れ相手からの義理チョコ。