暖めますか?【短編】
*よろしく
パチパチパチパチ!
会場に拍手が沸き起こる。
「只今見ていただいた、新郎・拓海様、新婦・知美様の出会いからお付き合いする迄の再現ドラマはいかがでしたでしょうか?」
また一段と盛大な拍手が鳴る。
「このドラマはお二人はもちろん、もうお一方ご本人出演していただきました。ご紹介しましょう!新郎の先輩こと拓哉様です!」
紹介された先輩は席を立ち、どーもとお辞儀をする。
男性陣からは拍手が、女性陣特に知美の友人達からは容赦の無いブーイング。
それを見て、知美と大笑いする。
あの日からちょうど1年。
俺達2人は、こうして多くの人達に見守られながら、結婚式を迎えられた。
俺はこれからもあの時の気持ちを忘れずに、知美を愛し続けるだろう。
そして知美も俺を愛してくれるだろう。
壇上に上がってスピーチをする先輩を見ながら、知美の手を握る。
会場がスピーチで大爆笑の中、小声で知美に喋りかけた。
「これからもよろしくな知美。」
「こちらこそよろしくね拓海。」
知美は俺の手をしっかりと握り返してそう言った。
【暖めますか? 完】