暖めますか?【短編】
1人、また1人とレジを済ませ列が短くなっていく…。
「おい!見えたか?」
「もうちょい…。」
「焦れったい奴だな〜!こっち来い!」
小声でのやり取りを続けながら、先輩は俺を知美ちゃんが見える位置まで引っ張った…。
「…おい!見えたか?」
─あっ見えた……。
「どうだ?可愛いだろ?」
ボーっとレジにいる知美ちゃんを眺めていると、先輩がそう耳打ちした。
その問いに対し、俺は黙ったまま頷いた。
なぜかドキドキする自分がいて、心臓の音が聞こえてきそうだった…。
それを先輩に悟られるのが嫌で、元の位置に戻る。
─ん?どうした…俺。
気付くと先輩がレジに自分の商品を差出し、何やら知美ちゃんと会話していた。