暖めますか?【短編】
「おい!拓海!お前のも出せよ!俺がおごってやる!」
そう言って、俺の手から弁当と缶コーヒーを奪い取る。
それを知美ちゃんに差出し、後輩持つと大変でさ〜と先輩の声…。
…普段ケチなのに。
ふいに知美ちゃんが俺を見て喋った。
「暖めますか?」
「お願いします。」
アツアツで!と先輩が付け加えたが、そんなのは無視。
只、少し笑いながらレジを打つ知美ちゃんに目を奪われていた…。
「「ありがとうございました〜」」
店員の掛け声を背に店を出る。
さっきは寒かったのに、不思議と寒くない。
「う〜寒い!何ボサっとしてんだよ!行くぞ拓海!」
そう言って俺の前を走りだす。
振り返って店内を見ると、知美ちゃんが忙しそうにレジを打っている。
その姿を見てから、先輩の後を追って走ってった。