記憶のかけら
 言った途端、惨めな気分になった。
「Ca-ro mio ben,cre-de-mi al-men. sen-za dl te - lan-gui-sceil cor,」
 すると水音に負けない声で、再び歌が聞こえてきた。そして、その歌を思い出した。そうだ、中学で習っていた歌だった。『Caro mio ben』。でも確かあれは……。
「日本語訳がこっぱずかしい歌」
 恥ずかしくて、笑ってしまう歌詞。それを分かっていて、彼は歌っているのだろうか。
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