死発列車


気付いたときには、すでにドアは閉まっていた。

他の車両もそうなのだろうか?

車内にいる人たちは、あまり深くは考えてないのだろう、いやむしろ気付いていないだけなのかもしれない。
先程のカップルも、今はもう違う話で盛り上がっている。俺の考え過ぎなのだろうか?


すると車内のアナウンスが流れた。

「1両目にお乗りの皆さん、本日はご乗車ありがとうございます。この列車は お一人になるまで停車致しません…」



…??
停車しない…?

どういうことだ…?



その瞬間!パンッ!!という高い音が車内で鳴った。乗客の悲鳴があとに続いて響いた。
先ほどまで寝ていた江口もようやく起きたようだ。
どうやら今の爆発は天井からだった。火薬のにおいが辺りに充満して、皆が緊張で静かになる。

そして再びアナウンスが入った。


「1両目にお乗りの12名様にルールの説明を致します…」
…ルール?一体なにをしろというのか…?


「おいっ!一体どういうことだ!ふざけるな!」
さっきのカップルの男性が声を荒げる。
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