死発列車
2つのコードを切ったが、爆弾の時計はまだ動いていた……。

吉田はホッとした…。

「……はぁ…はぁ…はぁ……」
眞加辺の息は荒かった…。
ほとんどの乗客があまりの展開に驚き、声が出せなかった…

「…おっ…お前…!ちょっとは躊躇しろよ…!!」柄本がかすれた声で叫ぶ。
「……クククッ…まぁ…まだ最初だ…。すぐには爆発しないだろ…。」
永沼がつぶやく。
「………てめぇ…!」
「…やめとけ!」
柄本が永沼を殴りに行こうとしたのを吉田が止める。
「…殴ったところでどうにもならない…!」
「…ほぅ…吉田さん優しいですねぇ…」
永沼は下を向きながら話す。彼はどんなことにでも動じなかった…。
そんな永沼を吉田は相手にしない…。

「…次からはほとんど運も関係する…。……待っててもしょうがない…どんどん切ってくぞ…。」
吉田はこの緊張から早く開放されたかった…

すると片方の爆弾の中から1枚の紙が出てきた…

[3両目]
……2両目にいる犯人を捕まえるためには爆発を受けて死ななければならない…。
松川はいざとなると少し戸惑いを感じた…。
しかし自分が吉田に言い残した言葉を思い出し再び死ぬことを決意した…。

1つ爆発させるか…。

3つの内1つの爆弾は、そこに入っていたヒントからその爆破コードは分かっていた。
この車両にいる人には本当に申し訳ないが…


その時…
「…お父さん…お母さん…怖いよ………」
小さな子供が両親の服を後ろからひっぱった…。
「…ヒロユキ大丈夫よ…。……爆弾はあの人が必ず解除してくれるから私たちは死なないわ…」
「……お母さんの言うとおりだ…!大丈夫だ…」
父親が家族を軽く抱きしめた…。


松川も自分の家族を思い巡らした…。産んでくれた親のこと、妻のこと息子のこと…すべてがこの瞬間目に映った…


よし…少しだけ解除しよう…


松川も『緑』が安全コードだということが分かっている…。乗客にその理由を説明し、3つの爆弾すべての『緑』を切断した…。

松川は爆破コードのヒントが書かれた紙も探すことにした…。

松川たちの他2つの爆弾は、ただフタを開けただけではその紙は出てこなかった…。

…ドライバーを使ってどこかを開けなければいけないのか…?
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