死発列車
[2両目]
残り5分……
あと5分でどちらかが死ぬ…
自分が死ぬのか父親が死ぬのか…
もう美倉は出た結果を受け入れるしかなかった…

お父さんを守れなかった…それが一番悔しかった…

お願い…お父さんの車両は爆発しないで……!

時限爆弾がのタイマーが鳴りだす…。

「……うわぁーやめてくれぇ……」眞加辺は頭を抱えてぶつぶつ何かを言ったり時々叫んだりしていた…

隣りの車両に級友や家族がいる人たちは未だガラス越しに名前を叫んでいる……
もう最後の時間をこのように過ごすしかなかった…
泣く人、騒ぐ人、小言を言う人、そして吉田が切る瞬間を見ている人…もう車内は何がなんだか分からなくなっていた…

吉田は『黄』のコードにペンチを持っていく…

残り3分…

[3両目]
「…『黒』だ…!『黒』を切れ…!!」
「……いやっ!『黄』を切るのよ…!」
「……頼むから……頼むから助けてくれぇ……!!」
松川が爆弾の中身を見たがヒントが書かれた紙は無かった…。

まわりの声などもう聞こえなかった…
ヒントがない以上この爆弾は運で解除するしかない…。

どっちにする…!?『黒』がセーフか…?

松川が『黒』のコードへペンチを持っていく…
「…嫌ぁーーー!!」
耳をふさいだり大声をあげたり…3両目もパニックになっている…

乗客が皆 彼の手にくぎづけとなった…

しかし美倉の父 彰宏だけは2両目のある一点を見ていた…


[2両目]
いや…やっぱり『黒』だ…!

一息おいてから言う。
「………みんな……聞いてくれ…………私は『黒』を切断しようかと思う……!」

「…えっ…!!」
吉田の出した答えに動揺する。

そう…これで自分たちの命が決まる…。


「………実はこれには何の根拠もない………ただ最後はみんなで意見を共にして切断したいんだ…………この決断に反対の者がいたら遠慮なく言ってくれ……」
お互い顔を見合わせ黙っていた……
そして………
「……あたしは……それでいいと思う……」美倉が言う。
「…私もだ…。」美神が続く。
誰もが頷いて承諾した。

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