死発列車
……
………
…………
……………………
あれ……?なんか……変………
……恐る恐る目を開けるとそこには生きている自分がいた……
あたし……まだ生きてる……!生きてる!!
耳をふさいでいた手を離し立ち上がった……。
助かった……助かったのね………
ピンポーン…
「…2両目の皆さま…勝利おめでとうございます…!ご乗車ありがとうございました…。ドアが開きます…。お忘れ物落とし物がございませんようご注意ください…」
プシュー……
ドアが開き、やっと息苦しかった車内から出られた。電車の中にいた時間が長く感じられた…。外の空気を吸ったのが何年振りかと思う程であった
。
「…助かったのね………!」
「……わぁーーー…!」
「…ケンタ………あぁーー…!あぁーー…!」
なんとも無惨な光景だった…。ホームには爆発で廃墟と化した車両…至る場所に飛び散ったやけに赤い肉片…安堵の声をあげる者…亡くなった家族や友達を悲しむ者の声……
もはや今この状況を見ただけではどんなことが起こったのか予想することなどできないであろう…
爆発した3両目からは未だに黒い煙が立ち上っていた。それを見るだけで目の前の光景がモノクロに見えた…むしろこのまま『色』を見たくなかった…
友達どころか父の命がたった一瞬の爆発で跡形もなく消えてしまった…その悲しみは抑えきれるはずなかった…
「……なんで………………?なんでなの………!?」
今まで生きてきた中で1番涙を流した………
大切な父親も亡くなった…………
この事実が何度も頭を過ぎった…
「……わぁーーーん…!お父さぁーん……!わぁー…ん………」
小さな子供のように泣いた………
もう考えたくなかったが、それは無理な話であった。
「……大丈夫か……?」大原が近づいてきた。
「……起きてしまったことはしょうがない……。俺たちはあの15人の命をこれから背負ってがんばって生きていく必要があるだろ………。特に君はお父さんの命をね…………」
美倉がコクリと頷く。
「…………今日はもう帰った方がいい…。お母さんのこともこれからずっと大切にするんだよ…」
「…はい………。ホントに……ありがとう……ございました…。」