死発列車
上手く感謝することができなかったが、大原の言葉がすごく嬉しかった。


美倉は改札口の方へ向かおうとした。
「……あっ…あの…!」
大原に呼びかける。
「……ん?どうした…?」
「…あっ…いや……何でもないです…。いろいろとありがとうございました…!お元気でいてくださいね…!」
「おう!君も元気でな!」

軽く会釈をしてホームを後にした…。

メアド交換をしたかったが思いがとどまった。



……………?後ろを振り返るとすでに大原はいなかった…。



眞加辺は相変わらず目の前が見えていない男だった…。改札口を出る際、券を入れずそのまま通過しようとした。
彼の左腕についた火傷はあの後治療をした。1ヶ月経ってもまだ跡が残っていたが、痛みはもうなくなっていた。


あれ程怖がっていた木ノ本はあの出来事があった後は、3両目の人たちが生きることができなかった分をしっかり背負って生きていこうと決意した。彼女の強さは高く評価され、いつしか人に頼る性格は人に頼られる性格となっていた。
こないだは木ノ本から美倉のもとへ手紙が送られてきた。
どうやらあの後美倉を追って家を覚えたらしい…。

『美倉 竝さんへ

お元気ですか?
先日のあの事件ではお世話になりました。
竝さんがあの時私のことを気遣って言ってくれた言葉が嬉しかったのでお礼を言いたくてこのようにお手紙を書かせていただきました。
なんだか私 すぐ竝さんに頼っちゃってごめんなさい……。竝さんみたいにもっと強くならなくちゃいけませんね↑↑

私には両親がいなくて 父方のお兄さん家族の家に住んでいるんです。正直本当の親がいないのは悲しいです。両親のことを考えるだけでも涙が出てしまいます。
だから竝さんのお父さんを亡くした気持ちよく分かります…。
なんで自分じゃなくて親が死ななくちゃいけないのかって…。
でもお願いです…。

生きたいという気持ちを捨てないでください…。

だれか大切な人を亡くしたらその人の分までがんばって生きたいという思いを持ち続けてくださいね!

こんな生意気なこと言ってすいません…
竝さんはもともとこんなこと知ってましたよね?笑

また会う機会があればいいですね☆
それではまた!

木ノ本 紗耶香より』
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