死発列車
「…………あのー……」
突然車内で一番年若いであろう、意外と美しい20代ぐらいの女性が手を挙げた。

…………?
彼女と目が合ったとき、坂下はどこかで会ったことがあるような気がした。
彼女も彼女で私の顔を見て、眉を狭めながら首をかしげ始めた。

「……何だよ!」
斑目の声に驚き、話を続けた。
「…皆さんはどんな目的でこの電車にお乗りになったんですか…?」
「…い…今そんなこと話す必要あるのか!?」
あんなに冷静だった中越が突然焦った声で語った。
「…ご…ごめんなさい!!と…とにかく電車を停めることに……」
「…いや…。一人一人話してくれ。……この電車に乗った経緯を…。」
坂下は強い口調で口を挟んだ。
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