死発列車
「…あ…うん…」
宮田が彼の存在に気付いた。
「………桜川 幸二(さくらがわ こうじ)って言います…。年齢は…」
「年齢なんてどうでもいいんだよ!俺らはこんなゲームをさせられる理由と何か思い当たることねぇか聞いてんだよ!!」
斑目が口を挟んだ。
桜川は涙目になって黙ってしまった。
「ちょっと言いすぎなんじゃねぇのか!?」
斑目と年が同じぐらいの男性がそれを見て言い放った。
「あん…?……しょうがねぇだろ!俺らは今チンタラと話してる場合じゃねぇんだよ!命が賭かってんだ!」
「…そうだが……んで?年はいくつだ?」
斑目の話に耳を傾けず話を戻した。
「…21…です…。」
十代かと思ったが意外にも年は高かった。
「…ちっ…情けねぇなぁ!」
斑目はそれだけ言うと座席に座った。
「…それで…なんでこの列車に…?」
桜川はいまだに下を向いたままで誰とも顔を合わせようとしなかった。
「…僕は…仕事で…何も…」
「…そっか…」
「…あなたは…?」
桜川に言い返された。
「…俺は中津 武弘(なかつ たけひろ)…26だ。」
中津が話す間、斑目は足を揺すりながらずっと外を見ていた。
「…俺も何も覚えていないんだ…。ダチと東京で会って遊ぶはずだったのによ…。まさかこんな目に遭うなんて思ってもいなかったよ…。」

中津には東京に住む彼女がいた。もちろん中津も東京に住んでいたが、高校3年の卒業間近で家族の引っ越しが決まったために茨城の高校で卒業を迎えた。結局今まで付き合っていた彼女とは遠距離になり、仕事の休みをもらっては何度か東京へ戻って彼女と再開していた。今日もそのはずだった…。
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