死発列車
一方桜川は確かに仕事で東京へ向かう予定だった。
茨城県でつい最近できたリネンショップで働くにあたって、品川区にある本店で研修をしに今日も行くのだが、結局見るからに子供っぽく一時期年をごまかしているのではないかとまで疑われたこともあった。実際弱々しくも、反対に力強いという訳でもなくただ単に童顔であるだけでどこにでもいるいたって普通の人である。
彼はとにかく自分の命が危ういことばかりに気がいってしまい、まわりの会話がほとんど頭に入っていなかった。
「…それじゃあ……」
「はい。私ですね…」
ベートーベンのような髪型、出目金のように今にも飛び出しそうな白い目、彫りが深く黒い顔で話す 尻上がりなしゃべり方に、車内では やや笑いをこらえる音が聞こえた。
「…クスッ…つづけてっ!」
中津も苦笑いになりながらも話した。
「はいっ!名前は淀呂目 冥哩(よどろめ めいり)。特に何も覚えてません!」
はっきりと述べられたため一同あ然になりながらも込み上げてきた笑いを抑えていた。
こんな余裕ないのに…
淀呂目はアフリカ人との間にハーフとして生まれ、アフリカでの暮らしが長かったためカタコトの日本語が見受けられた。彼は旅行が大好きで、日本を一周するという夢を果たすべく現在の実家となっている鹿児島県から日本海側に沿って北上し、北海道からついに南に向かうというところであった。
日本が好きな母親は子供にアフリカチックな名前を控えて最終的には日本人の名前を付けたようだ。
茨城県でつい最近できたリネンショップで働くにあたって、品川区にある本店で研修をしに今日も行くのだが、結局見るからに子供っぽく一時期年をごまかしているのではないかとまで疑われたこともあった。実際弱々しくも、反対に力強いという訳でもなくただ単に童顔であるだけでどこにでもいるいたって普通の人である。
彼はとにかく自分の命が危ういことばかりに気がいってしまい、まわりの会話がほとんど頭に入っていなかった。
「…それじゃあ……」
「はい。私ですね…」
ベートーベンのような髪型、出目金のように今にも飛び出しそうな白い目、彫りが深く黒い顔で話す 尻上がりなしゃべり方に、車内では やや笑いをこらえる音が聞こえた。
「…クスッ…つづけてっ!」
中津も苦笑いになりながらも話した。
「はいっ!名前は淀呂目 冥哩(よどろめ めいり)。特に何も覚えてません!」
はっきりと述べられたため一同あ然になりながらも込み上げてきた笑いを抑えていた。
こんな余裕ないのに…
淀呂目はアフリカ人との間にハーフとして生まれ、アフリカでの暮らしが長かったためカタコトの日本語が見受けられた。彼は旅行が大好きで、日本を一周するという夢を果たすべく現在の実家となっている鹿児島県から日本海側に沿って北上し、北海道からついに南に向かうというところであった。
日本が好きな母親は子供にアフリカチックな名前を控えて最終的には日本人の名前を付けたようだ。