死発列車
「みっくん…?何してるの…?」
先程の爆発といい、電気を流したりするのもただごとではない。それを一番察していた彼は進行方向の一番前にある吊り革をすでにつかんでいた。

「き…君…正気か…!?」
彼は答えずただ吊り革を掴んで前を見ているだけであった…

左藤 路永(さとう みちなが)。高校を中退し、その後は悪くなる一方で数々の問題を起こしてきたが、彼の意志の強さは父親からそのまま受け継がれている。そのため小学生の頃の『世界一のロックバンドになる』という夢は未だ変わっていない。最近は市内で名が通りはじめているのだが、年月が過ぎるのは早く今年で遂に20代後半を迎えてしまう。
そんな左藤を好きになったのが阿田千 綵(あだち あや)である。彼女は見た目とは裏腹に、都内の有名大学を卒業している超エリートな生徒であった。左藤は大学の文化祭のときに一目惚れし、その日のうちに告白して彼をものにした。今は左藤と同棲し、今年中には結婚する予定だ。
今日は久しぶりのデートだった。

そして彼についていく決意はいつになっても変わらない。
「…みっくんが行くならあたしもやるわ!」
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