死発列車
「……つまり…もしその彼女が言う車掌がここから逃げてホームを出たとしたら…」
「…あっ!」
宮田が気付く。
「……え!?…どういうことだ…?」
中津がじれったそうに言った。
「…要するにいくらなんでも電車に乗るためにホームまで来たのにまた階段を昇って行く姿があるのは不自然だから誰かに気付かれるってことですよ……ね…!」
坂庭が自信をもって話す。
「……そう。……しかもそれが始発なら余計におかしくなってくる!」
「…始発には誰も乗っていないから降りる姿があったり、いくらおっちょこちょいでもホームが少ない駅で間違える確率が低いってことよね!」
宮田が言いたいことをまとめて話してくれた。

そして結論は一つに至る…
「………車掌の着替えがある…ホームから逃げることは難しい…。………さてこれらの条件下で一番バレずに済む行動といったら何か…?」
「………なるほど…」
「……そうか!」
中越も桜川も、それに続いて他の乗客も気付きはじめた。
「…な…何なんだよ…!教えろよ!!」
ぶっきらぼうな性格の斑目には分からなかった。右手に先程の黒い鞄を持って呆気にとられていた。
< 153 / 157 >

この作品をシェア

pagetop