死発列車
「…簡単なことです。…………………結論から言うと、車掌はここから逃げたのではなくて ここへ入ってきたんです!」
「…はっ?」
「…まず車掌の格好でこの電車の点検をするついでに誰かに印象付けた後、発車前にガラス窓から見えないようにしゃがんで私服に着替え、運転席からホームへ出たらそのまますぐ横にあるこの車両へ乗客のふりをして入ってきた…ということです。」
「…あっ、なるほどな…!…………おうおう、分かって来たぜ!!」
斑目もじわじわと理解してきたようだ。

「……でもそうゆうことだと…」
「…この乗客の…しかもこの車両の中にこんなことをしでかす奴がいるってことだな…。」
中津のこの言葉を聞いて斑目の表情がグラデーションのように再び変わりはじめた。
「……そうだよな!!おいっ!誰だよ!!一体誰が実行犯なんだよ!!マジぶっ殺してやる!…てめぇら一人ずつどんな手を使ってでも吐かしてやる…!!」
斑目は突然中津に目をつけ彼の胸ぐらを掴んだ。
「…まずはてめぇからだ…!」
「やめてー!!」
宮田が叫ぶ。
「……おい!待てよ!そんなんで分かるはずないだろ!!」
坂下も服を掴む斑目の腕をとって止めに入った。
「…くそっ!……くそーーっ!!どうなってんだよこの電車はよー……!!」
坂下の腕を振り切って叫んぶと頭を抱えてしまった。
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