死発列車

ラインも吊り革につかまろうとしたが、ふと車内の端でうずくまっている若い女性が目に留まった。迷わず歩み寄る。
「大丈夫…ですか…?」
そっと肩に手を差し延べた瞬間、彼女はビクッとした。ラインは構わず顔を伺うと、どこかで見たかんじが走った。
「あれ…?もしかして立川か…!?」
「……えっ?…相沢くん?」
か細い声を聞いた瞬間確信した。
「やっぱそうだ立川だ!久しぶりだなぁ!」
彼女は我慢していた感情を出せずにいたのか、大量の涙を流してその場で泣きじゃくった。恐らく知っている人が車内にいなくて孤独感を背負っていたのだろう。
立川 サララ(たちかわ さらら)は、高校までの同級生であり、ラインの初恋の人でもあった。いつもクラスのマドンナ的存在で、どこに行っても友達がいたため、逆に近づきづらく、最後まで想いを伝えることができず、卒業を迎えた。
卒業後もちょくちょく連絡を取り合うことがあったが、お互いに仕事で忙しくなるとそれが難しくなった…


だが髪は昔と変わらずショートで、二重の目で直視されると何度も胸が熱くなっていた。今目が合った瞬間も胸が鳴るのをかんじた。

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