死発列車
皆は人が死ぬことに苛立ちを感じているのではない。
むしろ死とゲームが一体化されていることに苛立ちを感じている…
電車のスピードは早くなり、誰もが言葉を発せなくなっていた。
風は通常より冷たくあたり、そのため手が かじかんでいうことをきかない。せめて鉄棒にぶらさがりたいと思うのだが、電流が流れているということを思い出す度にゾクッとする。
吊り革にぶらさがることは普通に鉄棒などにぶらさがることより非常に過酷だった…
今まで3人が開始して間もなく転落したが、普通の人はそれぐらいの時間で落ちてもおかしくない…
吊り革はもともと片手だけのものだから、逆に両手をかけてぶらさがるのは難しい…
きっとこのゲームは短期戦となるだろう…
しかし人間誰も、死と向き合うと考えられないほど強くなるものだ…
水戸駅から赤塚駅まで、誰も落ちることがなく耐えつづけた。
だが……
徐々に、自分だけでも助かりたいという人間の醜い傾向が見えはじめる…