死発列車
「…もう…お願いだからみんな落ちて…!」
遂に赤ん坊を左藤に預けた母親の限界が近付いていた。

「…ふっ…ふざけるな…!誰も助かりたいんだ…!お前のような赤ん坊の命を他人に託してまで生き残ろうとする奴には絶対負けたくない…!」
だがこの時江口も限界に達していた…


「うるさい、黙れおやじっ!!…あんたたちが…生きてたって……どうしようもないんだよ…!あんたらなんか死んでも誰も悲しむことないんだよ…!あたしだけが生き残った方が……」
「…いい加減にせんかっ…!」
恐らくここにいる人たちの中で最年長であろう、大館 聡峙(おおだて そうじ)が遂に口を開いた。
眉毛も髪も白く、目はぱっちり開いているが、まわりのシワが目立つ。細い体付きで今回のゲームはまず脱落するだろうと誰もが予想していた。
しかし、もうこうして15分も耐えている。
ただやはり大館も今やしゃべることもままならない…


「…人の命を軽く扱う言葉は避けられんのか…?…先程からあんたの言っていることは場の空気をかきみだすことばかりじゃないかね…?人間もっと大切にしあって……」

その時だった…!



大館の腕が吊り革からみるみるほどけていき、かろうじて落ちる寸前に吊り革をつかんだ…


「…うわぁぁああ…助けてくれぇえ!!」
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